チャンスの神はここにいる
テレビとラジオと雑誌の取材。
ギュウギュウと仕事を詰め込まされて生きてる俺達。
ロケキャンセルの連絡が入り
珍しく午後から休みになってしまった。
貴重な半日休日。
浮かれて家に戻る相方。
彼女は仕事で留守だけど、たまった洗濯物と買い出しと掃除があるそうだ。
「たまに手の込んだ手料理を食べさせたい」
奥さんか?おまえは。
俺の予定は何もない。
部屋は綺麗だし
冷蔵庫は色々入ってるし
映画でも観るかな。
それとも
日頃の睡眠不足解消で、一気に寝ようか。
なーんて考えてたら
足が事務所に向いてしまった。
事務所しか行く場所ない
悲しい俺。
誰かいるかなって思うけど
久し振りの事務所は誰もいない。
細かい営業を入れてるんだな。
「宮城さん。お疲れさまです」
「あ……えーっと……桜子さん?」
「撫子です」
「ごめん」
「桜子ちゃんの方が可愛い名前ですよね」
俺の間違いを気にせず
彼女はニコニコ笑顔を見せてくれる。
こいつも仔犬系か?
わんころ多すぎる。