チャンスの神はここにいる
新しいネタでも見せてくれるのかな?
ガサゴソとスマホを取り出し
場所を移動しながら耳に当てると
ライブのお誘いだった。
7時から小さなライブを自社ビルの地下でやるから、よかったら観に来て欲しいと。
「行っていいの?」
思わず大きな声を出し
周りの人に驚かれる。
『よかったら来て。今日はあまり人が入ってないんだ。来てくれたら助かる』
人寄せパンダ?
『場所わかる?チケット代はいいからね』
「当日券買うよ。場所ってさぁ……」
細かい場所を聞いて電話を切ると
胸がドキドキしてきた。
亮平君と純哉君のライブ。
薄暗い公園でしか見た事ないけど
今日は舞台で見れるんだ。
うわぁ
どうしよう。
何か差し入れした方がいいのかな。
顔を上げると
口元を上げて頬を染める自分の姿が、ガラス越しに映ってる。
ちょっと甘めなシフォンのミニワンピに華やかビジューサンダル。
お気に入りの服装で出てきてよかった。
メイク直さなきゃ
って
デートと違うんだけどな。
ひとり笑顔を見せて
ドキドキワクワク気分に浸っていた。