チャンスの神はここにいる
「どうなるかはわからないけどさ。だからこの世界は面白い」
舞台の上に純哉君が出てきた。
『セットに時間がかかったけど、今から始まります』
そんな挨拶をすると、前列から『純哉王子-っ』と黄色い声がした。
私の隣で塚本さんが腰を上げる。
「そんじゃねメグちゃん」
「最後まで観ないんですか?」
「目的は達成したから」
満足そうな声を出す。
「そういえば……もしかして、友達ってあいつら?」
プロデューサーの目は節穴じゃないのね
私はここで嘘付くのも面倒なので
正直に「はい」って返事する。
あくまでも友達。
それ以上ではないから
やましい事はない。
「ふーん、よかったね。明日でも正式にオーディションの話を事務所に伝えるけど、まだ内緒にしておいて」
「はい」
「じゃあ次からよろしく……って、本当に俺達ヤッてない?」
目を細めてしつこく確認。
どんだけのグラドルと寝てんだよ。
「ヤッてません」
苦々しくきっぱり言ったら
「ヤリたくなったら言って」
そう言い残し
私が文句を言う前に
目の前からいなくなる。
絶対言わない。
強く心に誓う。