チャンスの神はここにいる
AKBより厳しいオキテ
ライブが終わった。
出演者一同が舞台に勢揃いして
今日のお礼と
次のライブの開催日を告げて終了。
長い夢から覚めた感じ。
客席の照明も明るくなる。
次から次へと
お客さん達が立ち上がり
後ろのドアへと向かってゆく。
「亮平。やっぱカワイイ」
「純哉王子カッコいい」
通りすがりに
そんな声が聞こえた。
私は急ぐ用もないので
最後に出ようと席を立たず
ボーッと誰もいない舞台を見ていると
あら
会場整理の人が来た。
前の方から椅子を片付けている。
片付けの邪魔になるね。
ライブの余韻……いや
塚本さんの言葉の余韻に浸りながら、立ち上がろうとしていたら
前方から黒いスーツを着た人が、狭い会場を全力疾走。
えっ?亮平君?
「俺らの漫才。しっかり観てた?」
額に汗などかきながら
私に駆け寄り亮平君は笑顔を見せる。
私は「観てたよ」と、彼を見上げると
「どうだった?」って期待を込めて、私の目をジッと見つめる。
澄んだ綺麗な瞳。
「最高だった」
私が言うと
「よっしゃーっ!」って会場に響くような大きな声を出し、満面の笑みを彼は浮かべた。