チャンスの神はここにいる
ふたり立ち止まり
ジッと見つめ合う。
「メグちゃんと出会う前から、ずっと恋してる」
「亮平君……」
「君の大ファンが、ここにいる事を忘れないで」
壊れ物を扱うように
亮平君は私をそっと抱いてキスをした。
「好きだよ。メグちゃんは?」
「私も好き」
「よし。交渉成立。お付き合いしましょう」
ギュッと強く一度抱きしめてから
亮平君は離れ
手を伸ばし頬を触る。
「明日って仕事?」
「事務所の萌香ちゃんのイベントがあって、バーター的な撮影会がある」
萌香ちゃんのオマケみたいな感じで、事務所の女の子達も勢揃いする。
「何時まで?」
「7時には終わる」
「俺も午後からバイトで8時に終わるから、その後会おう。会員制のショット・バーに招待するよ」
いたずらっ子の顔で私に言う。
会員制のショット・バー?
場違い感アリアリ。
「8時半に待ち合わせしない?服装はジーンズじゃなかったら大丈夫。そんな感じでいいよ」
「そんなスゴイ場所?」
私達には違和感じゃない?
「エスコートする。そこでまたゆっくり塚本さんの話を聞かせて。また連絡する」
亮平君は私の頬にキスして
名残惜しそうに立ち去ってから
また
戻って来た。
あれ?
「もう一度キスして帰る」って
また軽く私の唇を奪い
今度こそ
純哉君の元へ猛ダッシュで走って行く。
その後ろ姿を眺め
指先で唇を触る私。
重ねるだけのキスだけど
何度かしちゃった。
しかも
路ちゅー。
頬を熱くしながら
また明日会える
そんな幸せを噛みしめていた。