チャンスの神はここにいる

中に入ると
思ったより広い空間が広がっていた。

豪華なシャンデリアが中央にあり

奥にはグランドピアノが見えた。
あ、チェロもある
生演奏もあるんだ。

入ると長いカウンター
シェィカーを握るバーテンさんが2人。

イケメンだなぁ。

バーテンの後ろには、沢山の種類のお酒がいっぱい。

磨かれた瓶が逆さになって
選ぶ楽しみも増える。

お客さんはカウンターに数人。

ボックス席が4つと
ピアノの前にソファも並ぶ。

亮平君は私をエスコートし
慣れた感じにカウンターの一番奥に進み、お洒落だけど座り心地の良い椅子に私を座らせ、自分もその隣に堂々と座る。

周りをチラ見すると
スーツ姿の50代の紳士が多い。
どっかの重役クラス?

皆さん品よく
騒がずお酒と会話を
それぞれが楽しんでいた。

高そうだよね
会員制だもん。

居酒屋の方が気持ちが楽だ。

やや緊張しながら亮平君を見ると
亮平君はバーテンさんに目配せをする。

2人いるバーテンは
ひとりはあちらでカウンターのお客さんと話をしているので、もうひとりが私達に近寄ってきて

私は衝撃を受ける。



「純哉君」

ヘナヘナ声が口から洩れる。

白いおしぼりを持ち
グレーのシャツを着て
眼鏡を光らせるイケメンバーテンダーは

純哉君だった。

「塚本さんとの昨日の会話。全て話せ」

冷たい声が私に突き刺さる。

今日のデートは

浮かれるデートじゃないことを知った私。
< 64 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop