チャンスの神はここにいる
中に入ると
思ったより広い空間が広がっていた。
豪華なシャンデリアが中央にあり
奥にはグランドピアノが見えた。
あ、チェロもある
生演奏もあるんだ。
入ると長いカウンター
シェィカーを握るバーテンさんが2人。
イケメンだなぁ。
バーテンの後ろには、沢山の種類のお酒がいっぱい。
磨かれた瓶が逆さになって
選ぶ楽しみも増える。
お客さんはカウンターに数人。
ボックス席が4つと
ピアノの前にソファも並ぶ。
亮平君は私をエスコートし
慣れた感じにカウンターの一番奥に進み、お洒落だけど座り心地の良い椅子に私を座らせ、自分もその隣に堂々と座る。
周りをチラ見すると
スーツ姿の50代の紳士が多い。
どっかの重役クラス?
皆さん品よく
騒がずお酒と会話を
それぞれが楽しんでいた。
高そうだよね
会員制だもん。
居酒屋の方が気持ちが楽だ。
やや緊張しながら亮平君を見ると
亮平君はバーテンさんに目配せをする。
2人いるバーテンは
ひとりはあちらでカウンターのお客さんと話をしているので、もうひとりが私達に近寄ってきて
私は衝撃を受ける。
「純哉君」
ヘナヘナ声が口から洩れる。
白いおしぼりを持ち
グレーのシャツを着て
眼鏡を光らせるイケメンバーテンダーは
純哉君だった。
「塚本さんとの昨日の会話。全て話せ」
冷たい声が私に突き刺さる。
今日のデートは
浮かれるデートじゃないことを知った私。