チャンスの神はここにいる

「だから大丈夫」

優しく言う亮平君の顔を見て
純哉君の邪悪オーラを脳内から追い出す。

「心配してくれてありがとう」

誰もいなかったら
きっとキスしてたかも

そんな雰囲気になってたら、乱暴に純哉君シェイカーを振り、グラスに注いで私の前に置く。

わぁ
なんて綺麗なブルーのカクテル

「俺のおごり」

「ありがとう」
喜んで礼を言い
亮平君に「美味しそう」って浮かれていると、亮平君の笑顔が消えて突然真面目な顔となる。

何?
毒でも入ってる?

そして亮平君は純哉君に頭を下げた。
カウンターに額が付いてるよ。
カウンター土下座。

いきなりの行動に私は驚いても
純哉君の顔はまた能面モード。
何も変わらず表情は見えない。

「純哉ゴメン。売れるまで……ふたりでてっぺん取るまで、恋愛禁止って、そんな暇ないって言ってたけど。ごめん俺、メグちゃんの事が好きで、ふたり……その……」

あ、私の事だ。

やっぱり恋愛禁止だったんだ。

「純哉君。亮平君は悪くない。私、恋愛禁止って知らなくて」

「俺、メグちゃんの事が好きで好きでたまらないんだ」

「私も亮平君が好きなの。大好き。迷惑かけないし、売れたら別れる覚悟もある」

「別れるって?冗談じゃない」

「だって足手まといになるじゃん」

顔を上げた亮平君と真剣に言い争ってると


「もういい」

突き放したように純哉君が声を出す。

もう……いい?

いいの?
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