チャンスの神はここにいる

昨夜
お弁当屋のバイト終わり
亮平君と純哉君にいつもの公園に呼び出しをくらう。

明日の生放送について。

「チャンスを生かせ」
俺様大魔王が眼鏡を光らせそう言った。

「いつもの笑顔でね」
亮平君の優しい声が心に沁みる。

「目立たないように目立て」

「説明ワリーよ純哉」

「さりげなく胸を寄せて谷間を強調しろ」

「エロすぎる顔は逆に引くから」

「スネた顔もアリだな」

「声も出せたら欲しいなー」

「手を振る時は、ギュッと腋を締めて指を広げてパーにして中指を鼻の高さに計算しろ」

「カメラが寄ってきたら、隣の席の女の子とハグしたら?」

「胸と胸をぶつけろ」

参考になるようなならないような……無茶ばかり言う二人。

二人の出番は三週目。

最初から一緒だと思ってたので残念。

でも彼らにとっては
様子を見る機会が会った方がいいので
三週目がベストらしい。

ブランコを揺らしながら
明日の本番を思うと
実は緊張している私。

そんな私の目の前に立つ二人。
怖い俺様大魔王とワンコ系爽やか私の彼氏。

揺らしているブランコの鎖がジャラリと耳元で音を立て、ブランコが停まり亮平君が急接近。

冷たい鎖を握る私の手の上から、そっと手を重ねて膝を下げその場にしゃがみ込む。

「大丈夫だよ」
迷子の子供をあやすように
優しい目をして私を見上げる。

包まれた手が温かい。





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