チャンスの神はここにいる

控室は弾んてる。

私だけ沈んでる。

着替えが終わると
ちゃんごらすのマネージャーが女の子達の控室に入り、『このまま飲みに行こう』と、女の子達に誘いをかけると、5人ほど楽しそうに付いて行く。

きっと
彼女たちは
今日の放送に満足だったのだろう。

だから元気に遊びに行けるのかな。

私は……ゼンゼンダメだったもん。

控室から出ると
スマホが鳴った。

事務所の社長からだ。
まだ起きてた?
てか見てたのテレビ。

「はい……メグです」

『胸ぐらい触らせろ。触られながら顔を上げて自己紹介できるだろうが!』

「しゃちょーう」
ガマンしてたのに
熱い涙がボロボロ出てきた。

『泣いてる暇ないから。さっさと帰って寝ろ。明日は海の家で撮影会だから9時に事務所集合』

って
言うだけ言って
一方的に切られてしまった。

番組を見て
絶対落ち込んでるだろうと
私に喝を入れたか

大きく深呼吸して

涙を止めて控室を出る。

テレビ局で女の子達にタクシーを用意してくれているので、そのまま乗って家に帰るだけ。

早くここを出よう。

今日の失敗を忘れよう。

トボトボと歩いていたら
背中をポンと叩かれた。

振り返ると
そこには
ちょっと太目の中年キレキャラ
スコア中西さんがジャージの上下でカバンを持って立っていた。


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