チャンスの神はここにいる

「メグちゃんの部屋」
中に入って
亮平君が私の前に立ち
あちこち見渡す。

玄関を入ると右手にバスルーム。
反対側には小さなキッチンと冷蔵庫
食器棚の奥にシングルベッド。
黄色いビーンズ型のテーブルを挟み、カラーボックスとコンポとテレビ。
入り口に大きなクローゼット。

「あまり見ないで」
撮影用水着姿を見られるより
部屋を見られる方が本音が出ていて恥ずかしい気がする。

「シンプルで可愛い」

「物が少ないの」

モジモジとバカップル会話をしていると、純哉君がテーブルにお菓子と飲み物を並べ「今日の放送チェック」と言って座り込む。

私は「はいっ」と返事をし
同じく腰を降ろした亮平君の隣に座り
三人で今日の生放送チェック。

客観的に見てないから
かなりドキドキしてしまう。

音楽が流れ
ちゃんごらすが進行して番組が始まる。

身体を乗り出し
生唾が喉を通る私の手を、亮平君が力強く握る。

音楽が流れ
カメラも流れ
グラドル達がカメラに映る。

寄せて上げてはできなかったけど
なんとか笑顔で流れに乗っていたので一安心。

「大丈夫。一番カワイイ」
耳元で亮平君に甘く言われ
ちょっとだけホッとしてると

「もっと目立て!」

スポ根マンガのコーチのような鋭い声が突き刺さる。

グサっとくるわ。
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