チャンスの神はここにいる
人に煎れてもらうコーヒーって
なんで美味しいんだろ。
「豆からあってビックリした」
「最近インスタントばっかりだけど」
寝ている亮平君をまたぎ
ちょこんと体育座りで私は床に座り
純哉君は小さな折り畳み椅子の上にある観葉植物を床に下ろし、自分がそこに座ってコーヒーを飲む。
大きな身体に小さな椅子
ガリバー旅行記の世界……いや、純哉君なら進撃の巨人か。
「コーヒーは亮平の方が上手だよ」
「そうなの?」
「こいつの家にも一式揃ってる。豆からガリガリやってくれる」
純哉君は優しく微笑み教えてくれた。
きっと私より色んな亮平君を知っているのだろう。
甘酸っぱい嫉妬が胸の中に広がる。
「昨日の生放送。俺達は亮平の家で二人で見てた」
眼鏡を外し
お疲れ感を漂わせながら短い髪に手を入れる。
その仕草に色気を感じた。
綺麗な目をしている。
眼鏡も似合うからいいんだけど
眼鏡に隠れて
もったいないな。
「スゲー亮平が緊張していてさ、一緒に居て疲れた」
笑われて照れる私。
「『メグちゃん頑張れ』『もっとカメラ左』『最高に可愛い』って、マジ超うるさくてムカついた」
亮平君……応援してくれたんだ。
「胸タッチされた時はテレビに向かって『何すんだバカ野郎』って叫んでた」
昨日はそんな風に見えなかったよ。
そっと手を伸ばし
ベッドの上の亮平君の髪を撫でる私。
心配かけてゴメンね。