チャンスの神はここにいる
緊張して
よく眠れなかった。
私が緊張してどうする。
七週勝ち抜かねばならなくて
まだまだ先は長いのに。
こんな大切な日に
亮平君と純哉君は朝から戦隊ショーの司会の仕事をしていた。
何でもやるのね。
『ショーの最初に時間くれるんだ。そこで純哉と漫才やってる。子供達は早くヒーローが観たいから、俺達が邪魔でウケは悪い』
仕事の間に電話をくれて
いつもの感じで楽しそうに話す亮平君。
『ひどいんだよ。ショーが終わると若いお母さん達が純哉のとこに来て『一緒に写真いいですか?』で、俺のとこには幼稚園児男子がヒーローになりきって蹴りを入れてくるんだから』
亮平君。
純哉君は女性にモテるけど
自分は子供と年寄りにモテるって言ってた。
きっと謙遜。
あの笑顔と人柄で
亮平君も女の子にモテるはず。
「緊張してない?」
聞いてる私の方が緊張してる。
『何が?』
「今日、本番だから」
心配そうに聞くと
『ワクワクしてる』
落ち着いた返事が返る。
ワクワクしてるの?
『メグちゃんに会えるからワクワクしてる。早くネタをやりたくて楽しみにしてる』
「亮平君」
『好きだよ』
私も……って返事をしようと思ったら
後ろから怖い純哉君の声が聞こえて
『ゴメン。二回目のショーが始まる。後からね』
ワタワタと電話を切られてしまった。
そうだね
ワクワクしなきゃね。
私も大好きだよ。
今日
会えるのを楽しみにしてる。