その一瞬さえも、惜しくて。
▽ いち。
鳴瀬 ひかり、と言う女。
あ、まただ。
僕はふと思った。
そんなに授業が退屈なのだろうか。
一体、何を見つめているのだろう。
教室の窓側の一番後ろの席に
鳴瀬ひかり、と言う女は座っていた。
その女は必ずと言っていいほど
窓の外を見つめる。
一応机にはその授業の教科書が置いてあるのだけれど。
彼女は、黒板なんか見ずに
外を見つめるんだ。
切なそうに。
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