その一瞬さえも、惜しくて。

「どうして?」



「どうしても。友達は要らないの。
別に欲しくないから。」




一瞬、鳴瀬が悲しい顔をした。
俯いていても僕にはわかったんだ。




「でも今日、テスト返却で
ちょっと鳴瀬にやついてただろ。」



「え、見てたの?酷い。」


鳴瀬がいい点数だったのはすぐに
わかった。
顔に出やすいタイプ。

そう言うところは僕に似てる。



「それって誰のおかげか、わかってるよね?」


「それは…。」


鳴瀬の困った顔が見たくて
ついイジメてしまう。


「ノートにありがとうって付箋つけて、」
「わあああ!わかったわかったから!
もう勝手にしなよじゃあ!」


真っ赤になった鳴瀬ひかりの顔を見て
僕はケラケラ笑っていた。




一方的だけど、今日は
鳴瀬ひかりとの友達記念日だ。




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