その一瞬さえも、惜しくて。

「誰かに話すなんてことないって
思ってたんだけどな、
まぁばれちゃったから仕方ないよね。」



「案外素直じゃんか。
で、どうして?」


髪の毛を耳にかける姿に一瞬どきっとした。



「んー、最初に出会ったのは中学の時だよ、
向こうは教育実習に来てた。
それでかっこよくて好きになった。以上、おしまい。」



「はあ?それだけ?
他にもなんかあるんだろう?」



「わたしだけ質問されるのって
ずるくないですか?」


「まぁ、そうだけど。
じゃあ俺にも質問してよ、何でも答えるしさ。」


「聞きたい事なんて別にないよ、
わたし。」







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