その一瞬さえも、惜しくて。

毎日、毎日、
和真がくだらない話をして
くだらない質問をして

それに鳴瀬が軽く答えて
それを微笑ましく僕が見守って。



なんてことが続いた。




晴れの日はいつものように屋上で
雨が降れば近くの踊り場で、

僕達三人だけの秘密の空間だった。



最初は僕が鳴瀬を呼ばなきゃ
絶対に来なかったけど

最近では授業が終わると
必ず手作りのお弁当を持って一緒に来てくれる。



まだ笑ってはくれないけれど
きっと彼女がここにいる理由は
紛れもない必然だったんだと思う。




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