その一瞬さえも、惜しくて。
「ひかりは家どこなんだ?」
「私はここから二駅隣で乗り換えるよ。
永嶋は?」
「なんだ、方向いっしょじゃんか。
家まで送っていってもいいか?」
家の方向が一緒だと言うことがわかり
僕はついテンションがあがる。
「はぁ?なんでよ。家までは絶対にいや!」
最近はぶっそうだから、じゃぁせめて最寄り駅までと
付け加えた。
勝手にすれば、とひかりはご機嫌斜めだったけど
断られたわけじゃなかったから
僕は後を付いて行くことにした。
ひかりの家の最寄り駅は僕の最寄り駅寄りも
たった三駅だけ手前。
地元の話で盛り上がった。
「N駅ってことは、N2中とか、3中とか?」
「そう、私は2中だよ。永嶋はT丘中?」
「残念。普通だったらそうなんだけど、サッカーやってたから私立行ったんだ。」