その一瞬さえも、惜しくて。
定期券内だから改札も出るよ。
なんて、少しでも一緒に居たくて
色んな口実が
次から次へと出てくる。
「ひかり、何か飲みたいものある?
そこの自販機で買ってくるよ。」
「え、いいよ。」
「帰り道、付き合ってくれたお礼だよ。」
「あんたばか?それってわたしのセリフなんじゃないの?」
まああんたが付いて来たからあながち間違っていないか
なんて、ぶつぶつとひかりは呟いていた。
「好きな子の前ではかっこつけさせてよ。
何がいい?」
僕がそう言うと、ひかりは俯きながら
アイスココア、とぼそっと呟いた。