その一瞬さえも、惜しくて。
「はいはい、アイスココアなんて可愛いもの頼むんだね...
あ、ひかりごめん。アイスココアこの自販機なっ。」
この自販機ないよ、って言おうとした瞬間
ひかりの震えた指先が僕の制服のシャツを掴んだ。
「ひかり...?」
顔をのぞくと目を見開いてがくがくと全身を
震わせていた。
「おめえ、ひかりか?
随分と色気づいたなあ。それもそうか、
あれから2年以上も経ってんだもんなあ。」
ひかりの視線の先には煙草をくわえた男性が立っていた。