その一瞬さえも、惜しくて。
こいつ、酒臭い...。
「ひかり、知り合いなのか?」
僕の問いにひかりはぶんぶんと大きく
首を横に振った。
「おいおいおい、ひかり~。
第二の父ちゃんの顔も忘れちまったのかよ。」
「あんたなんか、お父さんでも何でもない。
血も繋がってないのに。」
ひかりが、くっとそいつを睨むと
くわえていた煙草をひかりの足元へ投げ
こちらへ向かってきた。
すかさず僕はひかりを背中へ隠した。
「あんたが誰だか知らないけど、ひかりが怖がってる。
もう帰ってくれませんか?」
「なんだ、ひかり彼氏か?
てことは、やることやってんのか。」
その男はにやにやとひかりの全身を舐め回す様に
見つめた。
男の僕でもやつの目は鳥肌が立った。
こいつ、普通じゃない。