その一瞬さえも、惜しくて。
「てことは、お前前よりもいい女なんだな。
覚えとけ、血は繋がってなくても、
俺とお前は、身体は繋がってんだ。」
そう、小声で呟いた。
けらけらとそいつは、ひかりが怖がっている姿を
楽しんでいるようだった。
お前の家わざわざ行ってやったのに、引っ越したんだな。
また、来るよ。
そう呟き、奴は駅の方へ消えていった。
「もう、一生来るな...。」
そう、背中でぼそっと震える声で呟いたひかりの声は
今にも消えそうだった。
彼女なりの必死の抵抗だった。