その一瞬さえも、惜しくて。
僕たち二人は近くのベンチに腰掛けた。
アイスココアが無かったのでオレンジジュースの缶を
ひかりの手元へそっと置いた。
「ありがと...。
あ~、なんか変なところ見せちゃったね。
ごめんね、永嶋。」
「もう、大丈夫なのか?」
「ぜーんぜんへっちゃら!」
さ、もう遅いし行こうっと立ちあがったひかりが
握っていたオレンジジュースの缶が小刻みに震えていたのを
見逃さなかった。
気付いた時には僕はひかりを抱きしめていた。