その一瞬さえも、惜しくて。



もう一度座ろうと、永嶋はそっとわたしの
背中を撫でた。




今まで、思い出したくもなかった。



あいつのこと。
過去のこと。





思い出した瞬間、何か糸がぷつん、と切れたみたいで


わたしは涙が止まらなかった。



同時に陽太先生の笑顔と、目の前にいる
永嶋の笑顔がかぶった。




「ひかり、大丈夫か?」




先生、わたし、この人なら信じてもいいよね。



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