その一瞬さえも、惜しくて。
「和真、連絡網見てないのか?
雨が酷くてグラウンドが使えないから
今日はミーティングと各自でトレーニングだけだ、
って監督から来てただろ。」
「まじ!じゃあボール蹴れないわけ?」
急いで和真は制服のぽけっとから
携帯を開いて、連絡網を確認した。
「ちゃんと前もって確認しておくんだな。」
よいしょっ、と
綾西高校サッカー部と校章が描かれた
エナメルバッグを肩にしょって
教室を出た。