その一瞬さえも、惜しくて。
「…気になる?」
鳴瀬ひかりが喋りだすまでの
数秒間が凄く長く感じた。
雨の音が、さっきよりも強く
聞こえた気がした。
「どうしてだろうって…いつも気になってた…。」
真っ直ぐに僕を見つめる瞳が
なんだか見透かされているみたいで
恥ずかしくなって、視線を泳がせた。
「…きっと知ってしまったら
永嶋は私を、軽蔑するよ。」
彼女の唇が震えているように感じたのは
きっと気のせい。