その一瞬さえも、惜しくて。
「おいおい、何で知ってるんだよ。」
「隣のクラスまで噂回ってる。
女子達が悲鳴あげてたぞ。」
そんな挨拶しただけで
噂が回るなんて、どうなってんだよ。
で、何で鳴瀬さんに声掛けたんだ
って、和真は知りたそうな表情をする。
「ただ、挨拶しただけだぜ?」
昨日の昇降口でのことは
正直誰にも話したくなかった。
もちろん、和真だろうと。
何故だか、鳴瀬ひかりと僕との
秘密にしておきたかったんだ。