その一瞬さえも、惜しくて。

その紙に書き終えたのか
彼女は、ふわっとその紙を

僕の机に放り投げた。




《人に頼んで聞きに来る人は、嫌い。》



それを見て、つい頬が緩んでしまった。


鳴瀬ひかり、面白い。


そして同時に悲しむ和真の顔が
見えた気がした。



僕は何て書こうかな、と考えながらも

その紙の下にまた返事を書いた。


そしてまた折り曲げて、
横へそっと投げた。


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