その一瞬さえも、惜しくて。
「あきらー!早く行こうぜ!」
放課後になり、和真が迎えに来る。
でも僕は、どうしても確認しなければ
いけないことがあったんだ。
「わりぃ、和真。
俺、職員室寄ってから行くから
先に行っててくれ!」
「おー、わかった!遅れんなよ。」
笑顔で和真が手を振って
去っていくのを確認すると
僕は教科書やらなんやを
まとめてバッグへと乱雑に突っ込んだ。
それと同時に、鳴瀬ひかりが
そそくさと席を立って歩いていくのを
横目で確認して。