その一瞬さえも、惜しくて。
「何か理由を付けて席を希望したい奴はいるかー?
赤点ばっかりとってる奴は、
強制的に一番前の席だからなー!」
あははっと、皆が笑い声をあげる中
すぅっと隣の席から人影が伸びた。
「…はい。」
その瞬間、クラスは静けさでいっぱいになる。
「あぁ、なんだ鳴瀬な。
わかったわかったそこの席だろ?
ちゃんと授業受けてくれるならそこでいいから。」
それを言われると、鳴瀬ひかりは
席に着く。
安心したように。