その一瞬さえも、惜しくて。
「そうだな、それもそうだよな!
よしわかった。じゃあ後の奴等、順番にクジ引いてけよ〜。」
またクラス中が、ザワザワと騒がしくなった時、
横からシャツの袖を引っ張られた。
「ちょっと!私に関わらないでって
言ってるよね?わかってるの?」
小声で話しながらも、鳴瀬ひかりは
少し怒っているようだった。
自分でもおかしいと思うけど
鳴瀬ひかりが話し掛けてきた。
何だかそれが驚きで、そして僕の中では嬉しい事だった。
「関わるってなんで?
俺はここの席がいいだけだよ。
鳴瀬の隣がいいなんて一言も言ってないけど?」
微笑みながら言ったけど
この返しは意地悪だっただろうか。