その一瞬さえも、惜しくて。

少し、むっとした表情を見せた彼女は
僕の袖を掴み続けていて


ちょこんっと僕が袖をつつくと
ハッとして慌てて反対方向を向いてしまった。



その姿を見て、可愛いと思ってしまうんだ。

もっと色んな表情が見たい。
もっと鳴瀬ひかりを知りたい。


関わらないで、なんて言われて
関わらないなんて無理だった。



僕は彼女を好きなんだと確信した。

そして彼女もまた、彼を好きだった。






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