その一瞬さえも、惜しくて。

この時間の体育教官室は誰もいないんだ。

他の体育の先生は大体、午前で終わりだし
部活の顧問をやっている先生なんかは
隣にある競技場と体育館へ移動してしまうから
ほとんど陽太先生しかいない。


スポーツ名門校じゃなかったら
隣にあんな競技場や体育館も無いし
本当にラッキーだなって思っていた。


だから、この時間は
わたしと陽太先生だけの空間になる。



私が来ると陽太先生は毎回
あったかいココアを淹れてくれる。


それが私はずっと大好きだった。



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