その一瞬さえも、惜しくて。
「昨日、永嶋と一緒にいたろ?」
「え、見てたの?!」
そっか、あそこの場所だったら
確かに体育教官室の窓からは丸見えだった。
別に見られたくてあそこの場所に
したわけじゃないのに。
ちょっとだけ、後悔。
「…友達なんかじゃないよ。あいつ。
ただの隣の席なの。」
「そうかー?凄い仲良さそうだったけどな。
永嶋は学校でもかなり有名だし、評判いいぞ。」
「だからそんなんじゃないよ!
私には、陽太先生だけだもん…。」
コップを握ったまま
私は陽太先生を見つめた。
こうやって見ると、いつも先生は
頭を撫でてくれる。
でも今日は違った。
優しい瞳をこちらに向けるだけだった。
「でも、ひかりの隣の席が
あいつで良かったよ。」
「…どうして?」