完璧上司は激甘主義!?

「さて、どうしたものか」

「ミャー、ミャー」と可愛らしい鳴き声を上げる子猫を抱きながら、途方に暮れている男性。

いや、それはもちろん彼の気持ちも分かる。
せっかく女の子のために助けた子猫は、実は女の子の子猫じゃなかったのだから。
そりゃ今みたいに背中を見ただけで、途方に暮れたい気持ちも分かるけど……。

絶対今！この人……私の存在を完璧に忘れているよね？

少しだけ騒がしい公園内。その騒がしさを遠くへ届けようと緑が揺れる心地よい風が吹く中、意を決し男性に声を掛けた。

「あっ……あの！！」

この距離で気付かないわけがなく、男性は子猫を抱いたまま振り返った。

「あ……そうだった、悪い。持たせたままで」

男性が振り返った瞬間、息が止まるかと思った。
真っ黒な黒髪に、くっきり二重。目鼻立ちが整ったフェイスは、テレビに出ている芸能人にも劣らないくらい、魅力的だった。
そんな彼が子猫を抱いているというギャップもまた、彼の魅力をより一層引き出しているのかもしれない。

「その恰好、もしかして就活生？」

私の姿を上から下まで見て聞いてきた彼に、慌てて言葉を返す。

「ハッ、ハイ！！そうなんです！！」