完璧上司は激甘主義!?
唇をキュッと噛みしめ、トイレに駆け込む。
個室に籠り、考えてしまうのは南課長のことばかり。

私、どうしようもないくらい好きみたい。
あんな些細なことが怖くて一緒にいられないくらい、好きみたい……。

「最大のチャンス、本気出しちゃってもいいのかな?」

ポツリと漏れた言葉は、館内に流れる音楽によってかき消されていく。

ズボラでだらしないところばっかり見られちゃっているけど、私……頑張っちゃってもいい?


「ママー!漏れちゃうよ!!」

「順番なんだから我慢しなさい」

どれくらいの時間、個室に籠ってしまっていたのだろうか。
聞こえてきた声にハッと我に返り慌てて出ると、休日とだけあって長蛇の列が出来ていた。

長い時間、逃げるためだけに籠っていたなんて申し訳なかったな。
下を向いたまま、急いでトイレを出る。
きっともう会計も終わっているよね?

そう思い戻る途中、カートを引きながら電話をする南課長の姿が目に飛び込んできた。
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