完璧上司は激甘主義!?
*  *  *  


「え……サロンへ研修、ですか?」

「そうだ」

週明けの月曜日。
つい一昨日、南課長と休日デートを楽しんだ手前、どんな顔をして会えばいいのか分からなかった。
だって聞いちゃったから――。
南課長が愛しそうに女性の名前を呼ぶ声を。
あれから電話を切った南課長に、立ち尽くす私はあっさりと見つかってしまった。
だけど南課長は何事もなかったかのように話し掛けてきた。

「随分トイレ、混んでいたんだな」って。

そんな風に言われたら、私だって普通に返すしかなかった。さっきの話は聞いていなかったように。

それから買ってもらった商品と一緒に送ってもらい、南課長は車内で会社から電話が入りすぐに帰って行った。
正直助かったけど、月曜日にはどんな顔して会えばいいのか分からなかった。

きっと何事もなかったかのように会うのがベストだと思っているけど、果たしてそんな高度な技を私に出来るのかがすごく不安だった。
でもそんな不安、無意味だったみたい。
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