完璧上司は激甘主義!?
だけどそれはみんな同じだったようで、普段は見せることのない南課長の意外な一面に、言葉を失っていた。

「話は以上だ。研修は来週からひとり二週間ずつ行う。まずは新からだ」

「……えっ!私から、ですか?」

「あぁ。毎年決まっているんだよ。順番は名前の順だってな」

名前の順……。

つい苦笑いしてしまう。

「分かりました」

そうだ。
日本の教育上、何もかもほとんどが名前の順だった。
幼稚園から出席番号はほとんど一番だったし、体力テストも予防接種も一番だった。
たまに“相沢さん”という存在がいて、一番を免れたことがあったけれど、それでも一番だったことは圧倒的に多かった。
だけどそれも学生までだと思っていたのに、社会人になった今も適用されるとは……。


「いいな麻帆。一番とか」

「はぁ?なんでよ」

南課長に「仕事に就いてくれ」と言われ、席に戻る途中、斗真はそんなことを言ってきた。

「私は嫌なんだけど。一番なんて緊張しちゃうじゃない?」

むしろ二番とか三番とか。欲を言えば斗真のように最後が良かった。
だって何も知らないんだよ?どんな仕事をして、どんな人が指導に当たってくれるのかとか、なにも分からない。だけど一番以降だったら、情報を貰えるからある程度心構えが出来るじゃない。
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