完璧上司は激甘主義!?
だけどそれは一番以降の人に言えることであって、一番の私には当てはまらないこと。
なのに斗真は、意外なことを言い出した。

「バカだな麻帆は。こういうのはなんでも一番がいいんだよ。最後の奴なんて最悪だぞ?前の奴と比べられるし、色々な情報があるからこそ行くのが億劫になるしさ」

「……そっか」

なるほど。
私はいつも一番ばかり経験してきたけれど、よくよく考えれば斗真は“安田”だから、今まで最後の方だったのかもしれない。

「最後には最後の苦労もあるってわけだ」

「そうだよ。いつも一番の奴には分からない苦労もあるんだ」

そう言うと斗真は、よっぽど最後に研修に行くのが嫌なのか大きな溜息を漏らし、自分の席へと戻っていった。

そう言われると、確かに最後の人も大変なのかもしれない。
斗真の背中を見ながらも、自分の席へと戻りパソコンを起動させる。

それに今の私にはちょうど良かったのかもしれない。
来週から二週間、南課長と顔を合わせずに済みのだから。
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