完璧上司は激甘主義!?
つい手にしていた彼のジャケットを強く握りしめてしまうと、彼は怪訝そうに表情を歪めた。

「それ……俺のなんだけど」

「え……?あっ!すっ、すみません!!」

怪訝そうに私が握りしめているジャケットを指差す彼に、頭の中はパニック状態。
そんな中あろうことか、咄嗟に手を離してしまい、ジャケットは地面へと落ちていく。

「あ……」

声が見事にハモり、視線はお互い地面に落ちたジャケットへ降り注がれる。

や、やばい。

見た感じかなり高そうなジャケットだよね?

「すみません!!」

すぐさまジャケットを拾い上げ、ついてしまった砂利を叩き落としていると、静かに伸びてきた手によって制止させられた。

「いいよ、悪気があったわけじゃないって分かっているから」

「あ……」

ひょいと私の手からまだ砂利のついたジャケットを取ると、もう一度私を上から下まで見下ろし、少しだけ口角を上げては微笑んだ。

「シャキッとしろよ?そんなんじゃ就活戦争に勝てねぇぞ?」

「は……は、い」
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