完璧上司は激甘主義!?
「恋人の存在は間違いないよ。だって南課長、電話で語り掛ける声がすごく優しかったもの。……あんな声で言われちゃったらとろけちゃうくらい優しかった」

「とろけちゃうくらい……ねぇ」

電話越しで名前を呼ばれて、そして「いい子で待ってろよ」なんて言われちゃったら、間違いなく私はとろけちゃうよ。

「で?やっぱり好きなんでしょ?」

確信めいた目で見てくる未希に、返す言葉が見つからない。

「初日に聞いた時は、諦めるみたいに言っていたけれど、その様子だと諦められないんでしょ?いや、会えないから余計に好きって気持ちが増えちゃっているとか?」

なんで自分の恋愛にはてんで鈍感なくせに、こうやって他人のこととなると急に敏感になるんだろう。
もう少しだけ自分の気持ちにも敏感になって、そして早く斗真の気持ちにも気づいてくれたらいいんだけどなぁ……。

つい遠い目をして未希を見つめてしまっていると、未希は怪訝そうに表情を歪めた。

「なによ麻帆、その目は」

「あ、いやいや。別に深い意味はないんだけど。……まぁその……未希の言う通りです」

そう。さっきの未希の話はどれもこれも確信をついてきた。
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