完璧上司は激甘主義!?
好きって気持ちは膨らむ中、自分を偽り続けるスキルも身につけていった。

人は誰だって、好きな人には『いい女』と思われたいもの。
私だってそのひとりだ。

好きな南課長には、いつだって『いい女』と思われたい。

だからひたすら南課長のことを研究した。
お茶出しする際、最適な置く場所とか角度とか。
南課長は真面目な人で、誰よりも仕事に誇りを持っている人だから、そりゃもう誰よりも仕事を頑張った。
まだまだ結果を出せるような立場の仕事をさせてもられていないけれど、新人に与えられる雑用や使いっぱしりにさせ、一生懸命頑張った。

いつも誰よりも先にオフィスに入るようにしているし、とにかく南課長に『いい女』と思われたいがために、ひたすら頑張っている。

「だけどまぁ……本当にただ頑張っているだけ……なんだよね」

食べ終わった弁当のゴミを捨て、本日二本目のビールを先ほどのように、立ったまま一気に胃に流し込む。
そしてまた食器棚の鏡に映る自分を見つめてしまう。

そしてつい出てしまうのは苦笑い。

「こんな姿を見られちゃったら、きっとすぐに嫌われちゃうだろうな」
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