完璧上司は激甘主義!?
「いやいや、さすがにもうないでしょ」

そうよ。そう何度も抜き打ちチェックに来るとは思えない。
しかも先週来たばかりだし。なにより今日は花の金曜日だし！明日から連休なのに、わざわざ私の元を訪れるはずなどない。

頭を思いっきり横に振って、何度も自分に言い聞かせる。

そんなことをしている間にも、何度も鳴らされるインターホンに慌てて鍵を開けた。

そうよ。南課長なわけがない。
きっと最近来ていなかった新聞の勧誘かなにかよ。

「はーい！」

勢いよく扉を開けた先に立っていたのは、しつこい新聞勧誘ではなく、久し振りに見る南課長だった。

「お疲れ」

「おっ……お疲れ……様です」

いつもと変わらない真面目な顔をしたままの南課長に、どうにか言葉を返すもののすっかりと私の身体は固まってしまった。

えっと……まさかの南課長……だよね？

あれほど自分に言い聞かせた手前、信じられない。
目の前に南課長がいることが。

いまだに固まる私を他所に、私越しに南課長は部屋の中を覗いた。

「あれから一週間しか経っていないけど、どうだ？ちゃんと出来ているか？」

「……へ？」

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