完璧上司は激甘主義!?
「えっ!?わっ!南課長!?」

「失礼する」

失礼されたらマズイんです!!

慌てて南課長の後を追い掛けるものの、足の長さが違う私とは当然歩幅も違い、なかなか追いつけない。
するとあっという間にリビングへと辿り着いてしまい、恐る恐る立ち止まってしまった南課長の顔を覗き込むと、呆気にとられていた。

「あの……南課長?これはですね、その……」

一週間研修に全力で挑んだ私は、家ではすっかり抜け殻となりズボラ生活を送り続けていた。
研修が終わった土日に掃除しようと思っていたから。なんて言い訳を言おうとしたものの、それを南課長は許してはくれなかった。

「新……」

「はっ、はい!!」

自然と背筋も伸びる中返事を返すと、額に青筋が見えるんじゃないかと思うくらいの、不気味な笑顔で南課長は静かに囁いた。

「今すぐに掃除だ」

「……はい」



それからはひたすら掃除に明け暮れ、一週間前も同じ光景を見たな。なんて呑気に考える余裕もないほどだった。
南課長は終始無言だったし。
それがまた怖くて、疲れも忘れて必死に掃除に取り組んだ。
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