完璧上司は激甘主義!?
本当は聞きたかった。
どうして今夜来てくれたのか。
どうしてこんなにも私のズボラな一面を知っても、引かずにいてくれるのか。
どうしてショーコさんという恋人がいるのに、私のことを気に掛けてくれているのか。を――。

聞きたかったけど、聞けなかった。
だって――……。


「研修、大変だったみたいだな」

「――え?」

それは掃除を終え、すっかり疲れ切ってしまった私に掛けてくれた言葉だった。
身支度を整え、南課長は私に向かって目尻に皺を作って微笑んだんだ。

「頑張ったそうじゃないか。……新のこれからの仕事ぶり、期待しているから」

「南課長……」

「また抜き打ちでくるからな。気を抜くなよ」

そう言った瞬間、頭にポンポンと触れたのは、南課長の大きな手。
それから南課長は何事もなく帰っていってしまったけれど、さっきの行為が信じられなかった。

「頭……ポンポンしてくれたよね?」

手が自然と頭上へと向かっていってしまう。
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