完璧上司は激甘主義!?
さっきは咄嗟のことだったから実感湧かなかったけれど、今になってじわじわと現実感を植え付けられてくる。

「信じられない……」

潔癖上司と会社で呼ばれ、その名の通り潔癖症な南課長が私の頭をポンポンしたなんて……!


この日は興奮冷めやらず、すっかりと身体は疲れ切っていたはずなのに、なかなか寝付けることが出来なかった。
あんなことをしておいて、南課長は月曜日どんな顔をして出社してくるのだろうか。
ドキドキと淡い期待を抱いて週明けの月曜日、出勤したものの……。
南課長はなんら変わりなかった。
普段通り仕事をしていて、お茶出しをしてもいつものようにこちらを見ることなく、「ありがとう」の一言だけ。

それから月日は流れ、あれから一度だけ抜き打ちチェックが入ったけれど、その時は綺麗な状態を維持していたから、南課長は満足そうに笑ってすぐに帰って行ってしまった。


*  *  *


「カップ、下げますね」

飲み終わった頃を見計らってみんなの机を回り、飲み終わった人の分のカップを回収していく。

南課長は……まだ飲み終わっていない、か。

カップはまだ空になっていない。
集め終わったカップをトレーに乗せて給湯室へと向かう。
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