完璧上司は激甘主義!?
そんなことを考えていると、南課長はより分かりやすく聞いてきた。

「それぞれに当番で淹れてもらっているけど、新が淹れてくれるとなぜかいつも美味しいんだよな」

「え?」

ちょっと待って。今、南課長ってば真顔でとんでもないことをサラッと言わなかった!?

まさかの言葉に目を見開き、南課長をまじまじと見つめてしまうと、さすがの南課長も居心地が悪くなったのか、気まずそうに視線を逸らした。

「だから聞いてみただけだ。……別に深い意味などないから」

「はっ……はい」

それは重々承知していますとも。
だけど実際に口に出して言われてしまうと、けっこうへこむ。
がっくり項垂れると、また頭上から思いがけない言葉が降ってきた。

「いつもありがとう」

その言葉にすぐに顔を上げれば、さっきよりもより一層口角を上げた南課長が私を見つめていて、甘い瞳にクラクラしてしまう。
また勘違いしてしまいそうになる。

ただの部下なのに、どうしてそんな優しい瞳を向けてくれるの?
南課長にとって私って何?

喉元まで出かかった言葉を、グッと飲み込むしか出来ない。
だって聞けないよ。
そんなこと。
聞くのが怖い。たった一言で私の恋愛は終わってしまいそうだから――……。
だからこうやって飲み込むしかないんだ。

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