完璧上司は激甘主義!?
諦めにも似た溜息を漏らしつつも、「分かったよ」と返事を返せば斗真はまるで子犬のように目を輝かせた。

「さすが麻帆!俺達親友だもんな!よし!そうと決まればさっさと着替えて来い!俺は外で待っているから」

「はいはい」

適当にあしらっているというのに、斗真は気付く様子もなく軽くスキップしながら行ってしまった。
そんな斗真の後ろ姿を見送りながらも、口から出てしまうのはまた大きな溜息。

私、今日だけで一体何回溜息を漏らしただろうか。
もうこれ以上は吐かないようにしよう。
そう心に決め、これから斗真の愚痴に付き合わなくてはいけないのかと思うと、足に鉛がついているかのように、重い足取りで更衣室へと向かった。



「いや~!麻帆ちゃん最高!!」

「分かったから、ちょっと静かにしてくれる!?」

あれからいつもの居酒屋へと向かうと、斗真のマシンガントークが始まった。
最初は仕事に対する愚痴だったのに、いつの間にか話は未希とのおノロケ話に移り変わっており、ただ聞いているだけだというのに、心底疲れてしまった。

「麻帆ちゃ~ん!愛しのマイスイートハニーを呼んできてくれ~」

「今さっき呼んだ!全く。未希も呆れていたからね!」
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