完璧上司は激甘主義!?
「そしてますます好きにさせられました。……仕事真面目なところも、厳しいけれど部下思いなところも。私のズボラな一面を知っても引かずにこうやって気に掛けてくれるところも。……全部全部大好きなんです」

「新……」

恋人がいると分かっても、好きって気持ちが消えることはなかった。

「好きなんです……南課長のことが」

何度だって伝えたい。
“好き”って言葉を――……。
だってもう伝えることはできないでしょ?
結果は分かっているのだから。

南課長は目を見開いたまま私を見つめ、固まっている。

驚くに決まっているよね。
南課長からしてみれば、まさかの告白だったわけだし。
でも、私の気持ちは伝わってくれたかな?

静かな室内で、互いに見つめ合ったままどれくらいの時間が過ぎただろうか。
ちょうど午後一時を知らせる時計の音が鳴った瞬間、南課長は気まずそうに視線を落とした。

良かった。……ちゃんと伝わったよ。

その動作を見た瞬間、ホッと胸を撫で下ろす。

南課長に伝わったんだ。
だって気まずいってことは、私に気持ちがないってことを意味しているでしょ?

だけどすぐに顔を上げ、仕事中のように真剣な表情で真っ直ぐ私を見つめてきた瞬間、南課長の口から出る言葉が予想できてしまった。
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