完璧上司は激甘主義!?
「それと……もう今日みたいな抜き打ちチェックは大丈夫です!もう南課長の指導を仰がなくても、こうやって部屋を綺麗に保てますから」

「……そうだな」

そう言って少しだけ笑った南課長は、どこか切なげに見えた。

やだな。
無理矢理笑顔を取り繕っているの、バレバレなのかもしれない。
でもこれ以上の強がりは無理。
南課長ならきっと分かってくれる。

「失礼する。……悪かったな、休日に突然訪ねてきてしまって」

そんなことない!
だって南課長が訪ねてきてくれなかったら、こうやって自分の気持ちを伝えることが出来ずにいたのだから。

「いいえ!……これ、ありがとうございました。……すごく嬉しかったです」

そう言いながら手にしていたキティちゃんを掲げれば、少しだけ安心したように南課長は微笑んだ。

「それじゃまた月曜日に」

「はい」

さっきまでの時間が嘘のように、南課長は部屋からあっという間に出て行ってしまった。
玄関の扉が閉まる音だけが、異様に響いた瞬間、まるで電池が切れてしまった人形のようにその場に崩れていく。

< 223 / 410 >

この作品をシェア

pagetop