完璧上司は激甘主義!?
彼の向かい側に腰を下ろす。
するとなぜか彼はドアの方を何度も見ている。
そして再度俺を見ると、聞いてきた。

「あの、新さんは?」

「新は只今外出中で……。戻り次第来るよう言っております」

「そうですが……」

明らかに落胆した様子を見せる彼に、また心が乱される。
やはり新と顔見知りだった。
しかもただの顔見知りではない……?

そんな考えが頭をよぎった時、ドアをノックする音が響く。
そして数秒後、恐る恐る応接室に入ってきたのは、新だった。

「……失礼……します」

その声が聞こえてきた瞬間、思わず立ち上がってしまった。
だけどそれは俺だけじゃなかった。

「新さん!」

――え?

そして俺の横を吹き抜けていく風。

「え……どうして大高さんがここに……?」

大高さん?

嬉しそうに新の元へ駆け寄る彼と、戸惑う新の姿をまるで傍観者のように立ち尽くし、見ていることしか出来ずにいた。
< 254 / 410 >

この作品をシェア

pagetop